もしものときの希望を、家族とどう話しておけばよいですか?
A. 回答「人生会議(ACP)」とよばれる取り組みがあります。もしものときに受けたい医療やケアについて、ご本人・ご家族・医療や介護に関わる者が、あらかじめ、そして繰り返し話し合っておくものです。一度決めて書面に残して終わり、ではありません。気持ちは変わってよく、変わったら話し直せばよい——それが前提です。話しにくい話題ですが、切り出せずにいるうちに話せなくなることのほうが、実際には多く起こります。
なぜ、あらかじめ話しておくのか
命に関わる状態になったとき、自分で意思を伝えられなくなることがあります。そのとき決めるのはご家族です。
何も聞いていないまま「どうしますか」と問われたご家族は、長く迷い、決めたあとも「あれでよかったのか」と悩まれます。あらかじめ話してあれば、ご家族は「本人の希望に沿った」と思えるようになります。人生会議は、ご本人のためであると同時に、残される方のためのものでもあります。
何を話せばよいか
全部でなくて構いません。ひとつからで十分です
- 大切にしていること(何ができていれば「自分らしい」と思えるか)
- どこで過ごしたいか(自宅、施設、病院)
- してほしくないと思っていること
- 食べられなくなったときにどうしたいか
- 自分で決められなくなったとき、誰に決めてほしいか
- 会っておきたい人、伝えておきたいこと
最後から2つめが、実務上いちばん重要です。「誰に託すか」を決めておくだけでも、その先がずいぶん変わります。
どう切り出すか
正面から「もしものときの話をしたい」と言うと、たいてい嫌がられます。次のようなきっかけのほうが自然です。
- 知人や親族の入院・葬儀があったとき「うちはどうする?」
- テレビや新聞でこの話題を見たとき
- 入院や手術のあと、落ち着いたころ
- お盆や正月に家族が集まったとき
- 受診に付き添ったとき——医師から話を向けるほうが切り出しやすい場面があります
一度で全部を決めようとしないでください。「そういえばこの前、こんなことを言っていたね」と続けられれば十分です。
書き残す場合
話した内容を書き残しておくと、いざというときに役立ちます。決まった様式はありません。ノートやメモで構いません。書いたものは、ご家族と、担当のケアマネジャー、かかりつけ医が見られる場所に置いてください。引き出しの奥にしまうと、必要なときに出てきません。
なお、これは法的な効力を持つ文書ではありません。気持ちが変わったら、そのつど書き直して構いません。
気をつけたいこと
- 本人が話したくないときは、無理に進めない。「話したくない」も、ひとつの意思です
- 家族の希望を本人の希望にすり替えない
- 決めたことを固定しない。状況が変われば、選びたいものも変わります
- ご本人がいない場所で決めてしまわない
当院でお手伝いできること
当院はかかりつけ医として、日ごろの診療のなかでこうしたお話をうかがっています。ご家族だけで抱えず、受診の場を使っていただいてかまいません。「本人にどう切り出せばよいかわからない」というご相談でも結構です。
当院では訪問診療・訪問看護を行っており、ご自宅での看取りにも対応しています。かしわじま居宅介護支援センター(086-525-0600)、小規模多機能ホーム「こはる日和」、サービス付高齢者向け住宅「メディケアビレッジかしわじま」もあわせて運営しており、どこで過ごすかという選択肢を、実際の場所として示しながらご相談できるのが当法人の形です。
切り出しかたがわからない、というご相談でも結構です。
最終更新:2026年8月27日
