だるさや動悸、汗が多いのが気になります。甲状腺の検査を受けたほうがいいですか?
A. 回答のどぼとけの下にある甲状腺は、全身の代謝の速さを調整するホルモンを出している臓器です。このホルモンが多すぎても少なすぎても、だるさ・動悸・汗・体重の変化といった不調が出ることがあるとされています。甲状腺の働きは採血だけで調べることができ、内科で対応できる検査です。症状が更年期や自律神経の乱れ、気分の落ち込み、加齢による変化と紛らわしいため見逃されやすいとされていますので、気になる症状が数週間以上続くときは一度ご相談ください。
甲状腺はどんな働きをしているのか
甲状腺は、のどぼとけのすぐ下で気管を包むように位置する、蝶が羽を広げたような形の小さな臓器です。ここから出る甲状腺ホルモンは、体温・心拍・エネルギー消費・腸の動きなど、全身の「代謝のアクセル」を調整していると説明されています。そのため働きに異常が起きると、特定の場所だけでなく全身にさまざまな症状が現れます。
- 甲状腺機能亢進症:ホルモンが過剰になり、代謝のアクセルが踏み込まれた状態。代表的な原因としてバセドウ病が知られています。
- 甲状腺機能低下症:ホルモンが不足し、代謝がゆっくりになった状態。原因として最も多いのは橋本病(慢性甲状腺炎)とされています。
- 甲状腺の腫れ・しこり:機能に異常がなくても、首の前が腫れる、しこりに気づくといった形で見つかることがあります。
働きすぎ(亢進症)と働き不足(低下症)の症状の違い
同じ甲状腺の病気でも、ホルモンが多いときと少ないときでは症状がほぼ正反対になります。ご自身の症状がどちらに近いか、目安としてご覧ください。
| 項目 | 機能亢進症(多すぎる) | 機能低下症(少なすぎる) |
|---|---|---|
| 全身の感じ | 疲れやすいが落ち着かない、じっとしていられない | だるい、気力がわかない、眠気が強い |
| 心臓 | 動悸、脈が速い、息切れ | 脈がゆっくりになることがある |
| 汗・体温 | 汗が多い、暑さに弱い | 寒がりになる、汗が少ない |
| 体重 | 食べているのに減る | 食欲がないのに増える |
| 手・皮膚 | 手のふるえ、皮膚が湿る | 顔や手足のむくみ、皮膚の乾燥 |
| お通じ | 軟便・回数が増える | 便秘がちになる |
| 気分 | イライラ、落ち着かない、眠れない | 気分が沈む、物忘れが増えたように感じる |
| その他 | 目が出て見える、首の腫れ | 声がかすれる、月経が重くなる |
ただし、これらがすべてそろうとは限りません。高齢の方では症状がはっきり出にくいことがあるともいわれており、症状だけで判断することはできません。
血液検査でわかること
甲状腺の状態は、まず採血で確かめます。特別な前処置は不要で、食事を抜く必要も基本的にありません。
- TSH(甲状腺刺激ホルモン):脳から甲状腺への「指令」にあたるホルモンです。甲状腺の働きが落ちると高くなり、働きすぎていると低くなる関係にあり、最初の手がかりになります。
- 甲状腺ホルモン(FT4・FT3):甲状腺そのものが出しているホルモンの量です。TSHと組み合わせて、亢進しているのか低下しているのかを判断します。
- 自己抗体の検査:バセドウ病や橋本病といった、免疫のはたらきが関係する病気かどうかを調べる際に用いられます。
- あわせて確認する項目:コレステロールや肝機能、貧血、血糖などにも変化が出ることがあるため、一般的な血液検査を同時に行うことがよくあります。
「年齢のせい」と思われて見逃されやすい理由
甲状腺の病気は、症状が他の状態と重なりやすいことが特徴とされています。
- だるさ・気分の落ち込み・物忘れは、うつや認知症、加齢による変化と受け取られやすいとされます。
- 動悸や発汗、イライラ、月経の変化は、更年期の症状や自律神経の乱れと区別しにくいことがあります。
- むくみや体重増加は生活習慣の問題と考えられがちで、検査に至らないまま経過することがあります。
- 動悸だけが目立って心臓の病気を疑って受診し、その過程で甲状腺の異常が見つかる場合もあります。
採血で調べれば比較的はっきりする項目ですので、「気のせいかもしれない」という段階でも確認しておく価値があるといえます。
こんな症状はありませんか?
- じっとしていても動悸がする、脈が速いと感じる
- 以前より明らかに汗が多い、暑さ・寒さへの強さが変わった
- 食事量は変わらないのに体重が増えた/減った
- 手が細かくふるえる、字が書きにくい
- 休んでも疲れがとれない、朝から気力がわかない
- 顔やまぶた、足がむくむ/声がかすれる
- 首の前(のどぼとけの下)が腫れている、しこりに気づいた
- 健診でコレステロールや肝機能の数値を指摘された
受診の目安
次のような場合は、様子を見るより一度調べておくことがすすめられます。
すぐに受診を検討してください
- 強い動悸や脈の乱れが続き、息苦しさや胸の痛みを伴う
- 高熱、ひどい発汗、意識がもうろうとする、極度に落ち着かない
- 激しい嘔吐や下痢を伴い、水分がとれない
- 首の前が急に腫れて強く痛む、飲み込みや息がしづらい
- ひどい寒がりとともに、極端に反応が鈍い・眠り込んでしまう
早めの受診をおすすめします
- だるさ、動悸、多汗、体重の変化などが数週間以上続いている
- ダイエットをしていないのに体重が減った、あるいは急に増えた
- むくみ・便秘・寒がりが以前より強くなった
- 首の前の腫れやしこりに気づいた
- ご家族に甲状腺の病気の方がいて、似た症状が出てきた
- 妊娠を希望している、または妊娠中で体調の変化が気になる
- 健診で甲状腺やコレステロールの項目を指摘された
当院での対応と受診の流れ
いなだ医院は内科・循環器内科などを標榜しており、甲状腺の働きを調べる血液検査に対応しています。まず問診で症状の経過をうかがい、脈・血圧・体重の変化を確認し、首の状態を診察したうえで採血を行います。動悸が強い場合には心電図を、ほかの原因が考えられる場合には必要に応じた検査を組み合わせて確認します。結果によっては専門的な診療が適していると考えられることもあり、その際は連携する医療機関へのご紹介も行っています。
- 予約について:予約がなくても当日受診いただけます。診療時間は月〜土の7:00〜12:00、月〜金の14:30〜18:30(土曜は14:30〜17:30)です。
- 所要時間の目安:診察と採血自体は数分〜十数分程度です。混雑状況により待ち時間が生じる場合があります。
- 結果が出るまで:甲状腺の項目は院内ですぐには判明しないため、後日あらためて結果をご説明します。
- 費用:症状があって行う検査は保険診療の対象となります。詳しくはお問い合わせください。
- 持ち物:健康保険証(マイナ保険証)、お薬手帳、健診結果があればご持参ください。食事を抜いてくる必要は通常ありません。
- 駐車場:無料22台分をご用意しています。
受診時に伝えていただきたいこと
- いつごろから、どの症状が続いているか
- 体重が何か月でどのくらい変化したか
- 汗・寒がり・便通・月経など、以前との違い
- 気分の落ち込みや眠れなさ、集中しづらさの有無
- ご家族に甲状腺や自己免疫の病気の方がいるか
- 現在飲んでいるお薬やサプリメント(お薬手帳をお持ちください)
参考にした情報
「なんとなく不調」の段階でも構いません。甲状腺の働きは採血で確認できます。朝7時から診療していますので、お仕事前にもお立ち寄りいただけます。
📞 086-525-0600最終更新:2026年8月26日
