子どものほっぺが腫れて痛がっています。おたふくかぜでしょうか?いつから登園できますか?
A. 回答耳の下からあごにかけてが腫れて痛がる、口を開けたり食べたりするときに痛む、発熱がある、そして園や学校で流行している——こうした場合はおたふくかぜ(流行性耳下腺炎、ムンプス)の可能性があります。ただし、ほっぺや耳の下の腫れはほかの原因でも起こるため、診察で確かめることがすすめられます。登園・登校の再開については学校保健安全法で基準が決められており、耳下腺・顎下腺または舌下腺の腫れが出てから5日を経過し、かつ全身状態が良好になるまで出席停止とされています。腫れが引いたかどうかだけでは判断できませんので、日数と体調の両方をご確認ください。強い頭痛や吐き気・嘔吐がある場合は合併症の可能性もありますので、早めに受診してください。
おたふくかぜとはどんな病気か
おたふくかぜは、ムンプスウイルスによる感染症です。国内の感染症情報では、次のような特徴が挙げられています。
- 潜伏期間:うつってから症状が出るまでおよそ2〜3週間(14〜21日程度、平均は18日前後)とされています。心当たりのある接触から時間が空いていても、発症することがあります。
- 主な症状:耳の下(耳下腺)やあごの下(顎下腺)などの唾液腺が片側または両側で腫れ、痛みをともないます。発熱や、飲み込むときの痛みが出ることもあります。通常は1〜2週間で軽快するとされています。
- うつり方:接触感染と飛沫感染で広がり、感染力はかなり強いとされています。同じ家庭内やクラスで続けて発症することがあります。
- 診断のしかた:腫れ方や経過、周囲の流行状況などから判断します。必要に応じて血液検査などが行われることもあります。
ほっぺ・耳の下の腫れで考えられること
耳の下やほっぺの腫れは、おたふくかぜ以外の原因で起こることもあります。次のような場合があるとされています。
- 反復性の耳下腺の腫れ:おたふくかぜとは別に、耳下腺が何度もくり返し腫れるお子さんがいます。一度おたふくかぜと言われていても、実は別の原因だったということもあります。
- 首やあごのリンパ節の腫れ:のどの炎症などにともなってリンパ節が腫れ、ほっぺの下あたりが腫れて見えることがあります。
- むし歯や歯ぐきの炎症:歯の周囲の炎症が広がって、ほおが腫れる場合があります。
- 唾液腺のほかの病気:唾液の通り道が詰まるなどして腫れることもあります。
見た目だけで区別するのは難しいため、腫れが出たときは自己判断せずに一度受診いただくと安心です。
登園・登校はいつから(出席停止の基準)
おたふくかぜは学校保健安全法で出席停止の対象とされている感染症です。基準は次のとおりです。
登園・登校を再開できる条件(両方を満たすこと)
- 耳下腺・顎下腺または舌下腺の腫れが出た日から5日を経過している
- あわせて全身状態が良好になっている(熱が下がり、食事がとれ、元気が戻っている)
「腫れが引いたら登園できる」ではなく、腫れが現れてからの日数と体調の両方で判断する点にご注意ください。腫れが5日より早く引いた場合でも、日数を満たすまでは出席停止の対象となります。園や学校によって登園届・意見書などの書式が必要な場合がありますので、通っている施設の案内をご確認のうえ、必要な書類は受診時にお持ちください。
気をつけたい合併症
おたふくかぜは多くの場合1〜2週間で軽快しますが、次のような合併症が起こることがあると報告されています。
- 無菌性髄膜炎:症状がはっきり出た方の約10%に生じるとされています。強い頭痛、くり返す嘔吐、高熱、ぐったりして元気がない、といった様子が目安になります。
- 難聴:頻度は高くないものの(およそ2万例に1例程度と報告されています)、片側の聞こえが戻らなくなることがあるとされています。「呼んでも反応が鈍い」「片耳が聞こえにくいと言う」といった変化にご注意ください。
- 精巣炎・卵巣炎:思春期以降にかかった場合に多く、男性で約20〜30%、女性で約7%に合併すると報告されています。大人になってからの発症では症状が強く出ることがあるとされています。
- そのほか:膵炎などをともなうこともあり、強い腹痛や吐き気が続く場合は受診の対象になります。
受診の目安
ほっぺの腫れ自体は緊急性が高くないことも多いのですが、次のような様子がみられる場合は早めにご相談ください。
すぐに受診を検討してください
- 強い頭痛がある、頭が痛いと何度も訴える
- 嘔吐をくり返す、吐き気で水分がとれない
- ぐったりして反応が鈍い、呼びかけへの反応が悪い
- けいれんを起こした、首を痛がって動かしたがらない
- 高い熱が続き、水分がとれずおしっこが出ていない
- 片方の耳の聞こえが悪そう、音への反応が鈍い
- 思春期以降の男性で、陰のうの強い痛みや腫れがある
- 強い腹痛が続いている
早めの受診をおすすめします
- 耳の下やあごの下が腫れて痛がっている(初めて腫れが出たとき)
- 痛みで食事や水分がとりにくい
- 発熱が続いている
- 園や学校でおたふくかぜが流行している
- 腫れが片側から反対側へ広がってきた
- 登園届・意見書など、園や学校に提出する書類が必要
- ワクチンを受けていない、または接種歴がはっきりしない
- ご家族に妊娠中の方や、思春期以降で未罹患の方がいる
家庭でのケアとワクチンの考え方
おたふくかぜそのものに直接効くお薬はなく、症状をやわらげながら経過をみる対応が中心になります。かむと痛むことが多いため、食事はやわらかく飲み込みやすいものにし、酸味の強いもの(かんきつ類や酢の物など)は唾液が出て痛みが強くなることがあるため控えめにするとよいとされています。水分は少量ずつこまめに、痛みや熱で眠れないときは無理をせず休ませてあげてください。腫れている部分を冷やすと楽になるお子さんもいます。
予防としては、ムンプスワクチンが国内で承認されています。おたふくかぜのワクチンは定期接種ではなく任意接種として扱われており、接種を受けるかどうかはご家庭で選んでいただくことになります。当院でもおたふくかぜのワクチンを取り扱っています。接種の時期や回数、費用については年齢や接種歴によって異なりますので、お電話でお問い合わせください。ワクチンにも副反応が起こる可能性はありますので、気になる点は接種前にご相談いただけます。
当院での対応
当院は感染症内科と小児科を標榜しており、発熱や耳の下の腫れについてのご相談をお受けしています。腫れ方や経過、周囲の流行状況、ワクチンの接種歴などをうかがい、診察でほかの原因が考えにくいかを確認していきます。必要に応じて血液検査などを行うこともあります。合併症が疑われる場合や、より詳しい検査・入院での対応が望ましいと判断される場合は、地域の医療機関へのご紹介を行います。園や学校に提出する登園届などの書類にも対応しています。
受診は予約なしで診療時間内にお越しいただけます。当院は朝7時から診療しており、平日の朝や土曜日にも受診いただけます。発熱をともなう場合は、ほかの患者さんとの動線を分けてご案内することがありますので、来院前にお電話(086-525-0600)で一度ご連絡いただけると流れがスムーズです。診察は保険診療の対象となります(予防接種は保険外です)。受診の際は、保険証(マイナ保険証)、乳幼児医療証、母子健康手帳、お薬手帳、園や学校の書類をお持ちください。
受診時に伝えていただきたいこと
- 腫れに気づいたのはいつか(何日目か)、片側か両側か
- 発熱の有無と、最も高かったときの体温
- 食事・水分がとれているか、おしっこの回数
- 頭痛・嘔吐・腹痛の有無と程度
- 園や学校、家庭内での流行状況・接触した方の有無
- おたふくかぜのワクチン接種歴、これまでにかかったことがあるか
- すでに使っているお薬があればその内容
参考にした情報
ほっぺの腫れ、発熱、登園の判断でお困りのときは、いなだ医院までお気軽にご相談ください。朝7時から診療しています。
📞 086-525-0600最終更新:2026年8月26日
