急に吐き気と下痢が始まりました。家族にうつさないためにはどうすればいいですか?
A. 回答急に始まる吐き気・嘔吐・下痢は、ウイルスや細菌による感染性胃腸炎(ノロウイルスなどによるもの)が背景にある場合があります。多くは数日で軽くなっていくとされていますが、この間にいちばん気をつけたいのが脱水です。水分は一度にたくさんではなく、少量ずつ回数を分けて摂るのが基本とされています。ご家族にうつさないためには、嘔吐物や便を素手で触らず、塩素系漂白剤(次亜塩素酸ナトリウム)を使って消毒すること、そして石けんと流水でていねいに手を洗うことが大切とされています。水分がまったく摂れない、尿が出ないといったときは、早めに医療機関にご相談ください。
急な嘔吐・下痢でよくみられる原因
季節を問わず起こりますが、冬から春にかけては特に相談が増えます。主に次のようなものが挙げられます。
- ウイルスによる胃腸炎:ノロウイルスやロタウイルスなどが知られています。吐き気や嘔吐が先に出て、その後に下痢が続くことが多いとされています。
- 細菌による胃腸炎・食中毒:加熱の不十分な食品などがきっかけになることがあり、強い腹痛や発熱、血便を伴う場合があります。
- お薬や食事の影響:服用中のお薬や、脂っこいもの・冷たいものの摂りすぎで胃腸の調子が崩れることもあります。
- 胃腸炎以外の病気:まれに、虫垂炎や腸閉塞など別の病気が隠れている場合もあります。腹痛が強いときは注意が必要です。
脱水を防ぐための水分の摂り方
吐き気があるときに一気に飲むと、かえって吐いてしまうことがあります。次のような摂り方がすすめられています。
- 少量ずつ、頻回に:ペットボトルのキャップ1杯程度(5mL前後)を5〜10分おきに口に含むところから始め、吐かずに続けられるようなら少しずつ量を増やしていきます。
- 飲むものを選ぶ:下痢では水分と一緒に塩分も失われるため、水分・塩分・糖分がバランスよく含まれた経口補水液が適しているとされています。糖分の多いジュースや炭酸飲料は下痢を強めることがあります。
- 食事は無理をしない:吐き気が落ち着いてきたら、おかゆやうどん、すりおろしりんごなど消化のよいものから少しずつ再開します。
- 市販の下痢止めは慎重に:感染性胃腸炎では、下痢は原因となるものを体の外に出す働きも担っていると考えられており、自己判断で下痢を無理に止めると回復が長引く場合があるとされています。使用前に医師や薬剤師にご相談ください。
特にお子さんや高齢の方は体内の水分の余力が少なく、脱水が短時間で進みやすいとされています。ぐったりしている、唇や口の中が乾いている、半日以上おしっこが出ていないといったときは、様子を見すぎないようにしてください。
家庭内でうつさないための具体的な対策
ノロウイルスなどはごくわずかな量でも感染が広がるとされ、症状が治まった後もしばらく便からウイルスが出続けることがあります。次の点を意識してください。
- 嘔吐物・便の片づけ:使い捨て手袋とマスク、できればエプロンを着け、ペーパータオルや新聞紙で外側から内側に向けて静かに拭き取ります。乾いて舞い上がると空気を介して広がることがあるため、乾く前の処理が望ましいとされています。使ったものはポリ袋に入れて口を縛って捨てます。
- 汚れた場所の消毒:拭き取った後は、塩素系漂白剤(次亜塩素酸ナトリウム)を薄めた液で消毒します。嘔吐物・便で汚れた床などは0.1%程度、ドアノブや手すりなど手が触れる場所は0.02%程度の濃度が目安とされています。10分ほど置いてから水拭きし、金属部分はさびを防ぐためしっかり拭き取ります。アルコール消毒はこの種のウイルスには効きにくいとされています。
- 手洗いを最優先に:トイレの後、片づけの後、調理や食事の前には、石けんと流水で指の間・爪の間・手首まで洗い、使い捨てのペーパータオルで拭きます。タオルの共用は避けてください。
- 衣類やシーツ:汚れたものは他の洗濯物と分け、下洗いしてから塩素系漂白剤に浸すか、熱水で洗って高温乾燥させる方法がとられます。
- 入浴・トイレ:症状のある方は入浴の順番を最後にし、湯船につからずシャワーで済ませると安心です。便座やドアノブはこまめに消毒します。
受診の目安
多くは自宅で経過をみられますが、次のような場合は医療機関にご相談ください。
判断に迷われるときは、救急安心センター事業「#7119」(岡山県内で利用できます)にご相談いただけます。総務省消防庁の「全国版救急受診アプリ(Q助)」も目安になります。
すぐに受診を検討してください
- 脱水のサイン:半日以上おしっこが出ていない(乳幼児ではおむつが濡れない)、唇や口の中が乾いている、涙が出ない、ぐったりして呼びかけへの反応が鈍い
- 水分がまったく摂れない、飲んでもそのたびに吐いてしまう状態が続く
- 血便や黒っぽい便が出る
- 我慢できないほどの激しい腹痛、お腹の一か所を押すと強く痛む、痛みがどんどん強くなる
- 高熱が続く、意識がもうろうとする、けいれんを起こした ── このような場合は救急要請(119番)もご検討ください
早めの受診をおすすめします
- 小さなお子さんや高齢の方で、食事や水分の量が普段よりかなり減っている
- 糖尿病や腎臓・心臓の病気などで治療中の方、利尿薬などを服用中の方
- 嘔吐や下痢が数日たっても軽くならない、いったん良くなったのにぶり返した
- 同じ食事をした方が同時に体調を崩している
- お仕事や学校の関係で、いつから復帰してよいかの判断に迷う
当院での対応
いなだ医院は内科・感染症内科・消化器内科(胃腸科)・小児科を標榜しており、大人の方もお子さんも同じ窓口でご相談いただけます。経過や食事の内容、周囲の流行状況をうかがったうえで、必要に応じて血液検査や超音波検査などで脱水の程度や他の病気の可能性を確認し、内視鏡検査を含めた追加の検査が必要かどうかも含めて診療方針をご相談します。症状が強く水分が摂れない場合には点滴での補液を行うこともあります。嘔吐や下痢のある方は、来院前にお電話(086-525-0600)で一度ご連絡いただけますと、待合での動線や診察の順番を調整しやすくなります。朝は7時から診療しておりますので、お仕事前の受診もご検討ください。
受診時に伝えていただきたいこと
- いつから、どのくらい続いているか(嘔吐と下痢の回数も)
- 直前に食べたもの、ご家族や職場・学校で同じ症状の方がいるか
- 水分がどのくらい摂れているか、最後におしっこが出たのはいつか
- 発熱・腹痛・血便など、ほかに気になる症状はあるか
- 普段服用しているお薬やお薬手帳
参考にした情報
嘔吐や下痢が続いてつらいとき、ご家族への広がりが心配なときは、お気軽にご相談ください。
📞 086-525-0600最終更新:2026年8月26日
