健診で心房細動と言われました。症状はあまりないのですが、治療は必要ですか?
A. 回答心房細動は脈が不規則になる不整脈で、自覚症状がほとんどない方も少なくないとされています。ただし、症状の有無と脳梗塞の起こりやすさは必ずしも一致しません。心房の中にできた血のかたまり(血栓)が血流に乗って脳の血管に詰まると、心原性脳塞栓症と呼ばれるタイプの脳梗塞を起こすことがあり、これを防ぐことが治療の大きな目的のひとつとされています。「症状がないから大丈夫」とは言い切れませんので、健診で指摘された場合は一度、循環器内科での評価を受けることをおすすめします。
心房細動とはどのような状態か
心臓は本来、一定のリズムで拍動しています。心房細動では、心臓の上側の部屋である心房が細かく不規則に震え、脈がバラバラになります。背景として次のようなことが挙げられています。
- 加齢:年齢が上がるほど起こりやすくなるとされています。
- 高血圧・糖尿病などの生活習慣病:心臓に負担がかかり続けることが関係する場合があります。
- 心臓の病気:心不全や弁膜症などが背景にあることがあります。
- 甲状腺の病気・飲酒・睡眠時無呼吸:これらが関与している場合もあるとされています。
症状がなくても治療を考える理由
心房細動の患者さんのうち、およそ半数は自覚症状がないまま経過するとされています。一方で、心房が細かく震えると心房内の血液の流れがよどみ、血栓ができやすくなると説明されています。この血栓が脳へ流れて血管を詰まらせたものが、心原性脳塞栓症です。
- 脳梗塞全体のうち2〜3割が心原性脳塞栓症で、その多くに心房細動が関係しているとされています。
- 前触れなく突然発症し、詰まる血管が太いため重い後遺症が残りやすいタイプとされています。
- 心房細動のある方が適切な抗凝固療法(血液を固まりにくくする治療)を受けることで、脳梗塞のおよそ6割が予防できるとされています。
つまり、動悸などの症状を抑えることだけが治療の目的ではありません。症状の有無にかかわらず、脳梗塞を防ぐという視点で必要性を判断していくのが心房細動の考え方とされています。治療が必要かどうかは、年齢や血圧、糖尿病、心不全、脳梗塞の既往などを合わせて評価されます。
自分で脈をとってみましょう
心房細動は出たり止まったりを繰り返すことがあり、その瞬間の心電図でなければ捉えられない場合があります。ご自宅でできる確認方法として、自分で脈をとる「検脈」がすすめられています。
- 手のひらを上に向け、手首の親指側(しわの少し上あたり)に、反対の手の人差し指・中指・薬指の3本をそっと当てます。
- 指の腹で軽く押さえ、トクトクと打つところを探します。
- 15秒〜1分間数えます。15秒の場合は数えた回数を4倍すると1分間の脈拍数になります。
- 回数だけでなくリズムが一定かどうかを確かめます。打つ間隔がバラバラ、ときどき飛ぶ、強さが不揃い、といった場合は不規則なサインとされています。
こんな脈・症状はありませんか?
- 脈の間隔がバラバラで、リズムがつかめない
- 1分間の脈拍数が50回未満、または100回以上
- ときどき脈が飛ぶ感じ、胸がドキドキする感じがある
- 血圧計で測ると「脈が不規則」のマークが出ることがある
- 健診の心電図で不整脈を指摘されたことがある
受診の目安
心房細動そのものが命に直結するわけではありませんが、脳梗塞を疑う症状が出たときは時間との勝負になります。次のサインは覚えておいてください。
判断に迷われるときは、救急安心センター事業「#7119」(岡山県内で利用できます)にご相談いただけます。総務省消防庁の「全国版救急受診アプリ(Q助)」も目安になります。
すぐに119番通報してください(脳梗塞を疑うサイン)
- 顔のゆがみ:顔の片側が下がる、口角が片方だけ下がる、うまく笑えない
- 片腕が上がらない:両腕を前に上げても片方だけ力が入らず下がってしまう
- ろれつが回らない:言葉が出てこない、話がうまくつながらない、呂律が回らない
- これらが突然始まった場合は、症状が軽くても、また途中で治まったように見えても、迷わず救急車を呼んでください
- 症状が始まった時刻を確認して救急隊や医療機関に伝えてください。治療の選択に関わる重要な情報とされています
- そのほか、強い胸の痛みや締めつけ、意識が遠のく、安静にしていても息苦しい場合も救急対応をご検討ください
早めの受診をおすすめします
- 健診や人間ドックで心房細動・不整脈を指摘されたが、まだ受診していない
- 症状はないが、自分で脈をとるとリズムが不規則である
- 動悸や脈の乱れを感じることが増えてきた
- 階段や坂道で以前より息切れする、足がむくむようになった
- ふらつきや、一瞬目の前が暗くなる感じがある
当院での対応・検査
いなだ医院は循環器内科を標榜しています。健診で心房細動を指摘された方、脈の乱れが気になる方のご相談をお受けしています。
- 問診・診察・心電図:お話をうかがったうえで心電図を記録します。検査自体は数分程度で、痛みはありません。
- 持続的な心電図の記録:受診時の心電図だけでは捉えられない場合、装着したまま生活していただき24時間程度記録する検査をご案内することがあります。
- 血液検査など:甲状腺の状態や貧血、腎機能など、背景となりうる要因を確認することがあります。
- 専門医療機関へのご紹介:さらに詳しい検査や専門的な治療が望ましいと判断した場合は、連携する医療機関へご紹介します。
受診にあたって:予約がなくても診療時間内に受診いただけます。当院は朝7時から診療しており、無料駐車場を22台ご用意しています。健康保険証、健診結果や心電図の記録、ふだん飲んでいるお薬がわかるもの(お薬手帳)をお持ちください。これらの検査は原則として保険診療の対象となります。費用について詳しくはお電話でお問い合わせください。
受診時に伝えていただきたいこと
- いつ、どこで心房細動を指摘されたか(健診結果があればご持参ください)
- 動悸や息切れなどの症状があるか、あればいつごろからか
- 脈の乱れは続いているのか、出たり治まったりするのか
- 高血圧・糖尿病・心臓や脳の病気の既往があるか、ご家族に心臓の病気の方がいるか
- 現在飲んでいるお薬、サプリメント、お酒やたばこの習慣
参考にした情報
健診で心房細動を指摘された方、脈の乱れが気になる方は、当院(循環器内科)へお気軽にご相談ください。
📞 086-525-0600最終更新:2026年8月26日
