便秘と下痢をくり返します。ストレスのせいだと思って我慢していますが、受診したほうがいいですか?
A. 回答ご相談いただいてかまいません。便秘と下痢をくり返す、お腹が張る、排便すると腹痛がやわらぐ、といった症状が数か月にわたって続く場合、過敏性腸症候群(かびんせいちょうしょうこうぐん、IBS)が背景にあることがあります。検査をしても大きな異常が見つからないため「気のせい」「体質」と受け止められがちですが、生活の工夫やお薬で症状の程度がやわらぐことがあるとされており、我慢し続けなければならないものではありません。一方で、血便・体重が減る・発熱・夜中に目が覚めるほどの症状などがある場合は、別の病気が隠れていないかを確かめるために大腸の検査が検討されます。ご自身で線引きするのは難しい部分ですので、気になる状態が続くときは一度ご相談ください。
便秘と下痢をくり返すときに考えられること
おなかの調子が一定しない背景には、いくつかの要因が重なっていることが多いとされています。
- 過敏性腸症候群(IBS):腸そのものに炎症や腫瘍といった目に見える異常がないのに、腹痛や腹部の不快感と便通の乱れがくり返される状態です。便の状態によって便秘型・下痢型・便秘と下痢が入れかわる混合型などに分けられ、排便すると腹痛が軽くなる、症状が出るのは日中が中心といった特徴が挙げられています。緊張する場面や通勤・通学の前に起こりやすいという方もおられます。
- ストレスや生活リズムの乱れ:腸の動きは自律神経の影響を受けるため、睡眠不足、不規則な食事、環境の変化などが症状のきっかけになる場合があります。ただし「ストレスだけが原因」と決めつけてしまうと、ほかの病気を見落とすことにつながりかねません。
- 食事の内容や飲み物:脂っこい食事、アルコール、カフェイン、乳製品、食物繊維の極端な不足や偏りなどが、便通に影響することがあります。
- お薬の影響:便通に影響しうるお薬を服用中の方では、それが関係している場合もあります。市販薬の下剤を長く使っているケースも含め、服用内容の確認が役立ちます。
- ほかの病気が隠れている場合:炎症性腸疾患、大腸の腫瘍、甲状腺の機能の異常、感染性の腸炎の後の状態などでも、便通の乱れや腹部の張りが現れることがあります。IBSは、こうした病気がないことを確かめたうえで考えていく状態とされています。
受診の目安
次のような症状がある場合は、大腸の検査を含めて詳しく調べることが検討されます。国内の学会の資料でも、以下のような所見は「警告徴候(アラームサイン)」として、器質的な病気の可能性を確認する目安に挙げられています。
すぐに受診を検討してください
- 便に血が混じる、または黒っぽいタール状の便が出る
- 強い腹痛が続く、おなかにしこりのようなものを感じる、便もガスも出ない
- 下痢や嘔吐で水分がとれず、ぐったりしている(尿が出ない、立ちくらみがする)
- ダイエットをしていないのに体重が減ってきた(半年以内に3kg以上など)
- 発熱や関節の痛みをともなう
- 夜中に腹痛や下痢で目が覚める
- 貧血を指摘されている、顔色が悪いと言われる
これらは「警告徴候(アラームサイン)」として、炎症性腸疾患や大腸の腫瘍など、腸そのものの病気を確認する目安に挙げられているものです。診療時間外であれば救急外来の受診もご検討ください。
早めの受診をおすすめします
- 便秘と下痢をくり返す状態が数か月以上続いている
- 腹痛や腹部の張りで、外出・通勤・通学に支障が出ている
- トイレの場所が気になって行動を制限してしまう
- 50歳を過ぎてから初めてこうした症状が出てきた
- ご家族に大腸の病気の方がいる、ご自身に大腸の病気の既往がある
- 便の形や太さ、回数が以前と明らかに変わってきた
- 市販薬を使い続けているが、思うように改善しない
- 便潜血検査で陽性を指摘されたまま、精密検査を受けていない
警告徴候にあてはまらない場合でも、症状が長く続いてお困りであれば受診の対象になります。「検査で異常がなかったから治療できない」わけではなく、生活面の工夫やお薬による調整で、日常生活への支障をやわらげることを目指していきます。
当院での対応
当院は消化器内科(胃腸科)を標榜しており、便通の乱れや腹部の張りについてのご相談をお受けしています。まず症状の経過や便の状態、食事・生活の状況、服用中のお薬などを詳しくうかがい、必要に応じて診察や血液検査、便の検査などを行って、ほかの病気が隠れていないかを確認していきます。上に挙げた警告徴候がある場合や、年齢・ご家族の病歴などから必要と判断される場合には、大腸内視鏡検査(大腸カメラ)をご提案することがあります。当院では新世代の内視鏡システムを導入しており、胃・大腸の内視鏡検査に対応しています。検査に不安をお持ちの方も多い分野ですので、進め方についてはご相談のうえで決めていきます。器質的な病気が見当たらない場合は、食事や生活リズムの整え方についてのご説明と、症状に応じたお薬の調整を組み合わせて経過をみていきます。
受診時に伝えていただきたいこと
- いつから、どのくらいの期間続いているか
- 便秘と下痢のどちらが多いか、どのくらいの周期で入れかわるか
- 便の形・色・量、血が混じっていないか
- 腹痛は排便すると軽くなるか、夜間にもあるか
- どんなときに症状が出やすいか(食後、通勤前、外出時など)
- 体重の変化、発熱、食欲の有無
- 市販薬・サプリメントを含め、使用中のお薬
- 健診で指摘されている項目、これまでに受けた胃・大腸の検査
参考にした情報
「ストレスのせいだから」と我慢を続けなくても大丈夫です。便通の乱れやお腹の張りが続くときは、いなだ医院までお気軽にご相談ください。
📞 086-525-0600最終更新:2026年8月26日
