階段の上り下りで膝が痛みます。年齢のせいだから仕方ないのでしょうか?
A. 回答膝の痛みは「歳だから仕方がない」とあきらめてしまう方が多い症状ですが、必ずしもそうとは限りません。階段の上り下りや立ち上がりのときに痛むタイプの膝の痛みでは、変形性膝関節症(膝の軟骨がすり減り、関節に負担がかかった状態)が背景にある場合があります。日本整形外科学会の「変形性膝関節症診療ガイドライン2023」では、運動療法について鎮痛・身体機能の改善に有用とされており、太ももの筋力トレーニングなどを続けることで痛みが和らぐことが期待されています。まずは痛みの原因を確かめたうえで、ご自身に合った運動を知ることが第一歩とされています。膝の痛みは整形外科のほか、リハビリテーション科でも相談できます。
膝が痛くなる一般的な原因
階段や立ち上がり動作で膝が痛む場合、次のような背景が考えられています。
- 変形性膝関節症:膝のクッションである軟骨が長年の使用ですり減り、骨どうしの負担が増えて痛みや腫れが出るとされています。中高年の膝の痛みで最も多い原因のひとつとされ、女性に多い傾向が知られています。
- 太ももの筋力低下:膝を支える大腿四頭筋(太ももの前側の筋肉)が弱くなると、膝関節にかかる負担が増え、痛みにつながる場合があります。痛いから動かない→さらに弱くなる、という悪循環が起こりやすいとされています。
- 体重の増加:体重が増えると、歩行や階段の際に膝にかかる力も大きくなります。体重管理は保存療法の柱のひとつとされています。
- 半月板や靱帯の傷み:スポーツや転倒などをきっかけに、膝のクッションや支えとなる組織が傷ついている場合があります。ひっかかり感や急な引っかかりを伴うことがあります。
- 関節の炎症をきたす病気:関節リウマチ、痛風・偽痛風、細菌による関節の感染などでも膝が痛むことがあり、強い腫れや熱感、発熱を伴う場合には注意が必要とされています。
「年齢のせい」とあきらめる前に ― 運動療法という選択肢
日本整形外科学会の診療ガイドラインでは、変形性膝関節症に対する保存療法として、患者教育・体重管理・運動療法が基本と位置づけられています。運動療法では、太ももやお尻の筋力トレーニング、膝の動きをよくするストレッチ、ウォーキングなどの有酸素運動を組み合わせ、継続することが大切とされています。
ポイントは「痛いから安静にする」ではなく、膝に体重をかけすぎない姿勢で筋肉を鍛えることです。以下は、椅子や床の上で無理なくできる代表的な運動です。ご自身の状態によって適した運動は異なりますので、痛みが強い場合は自己判断で続けず、まずご相談ください。
自宅でできる簡単な膝の運動(できているか確認してみましょう)
- 脚上げ運動(SLR):あお向けで片脚を伸ばしたまま、かかとを10cmほど持ち上げて5秒キープ。左右10回ずつを目安に。
- 膝押しつけ運動:あお向けまたは座った姿勢で、膝の下にたたんだタオルを入れ、膝でタオルを5秒押しつぶす。左右10回ずつ。
- 椅子での膝伸ばし:椅子に深く座り、片膝をゆっくり伸ばして5秒キープしてから下ろす。反動をつけない。
- 横上げ運動:横向きに寝て、上側の脚を伸ばしたまま20〜30cm持ち上げる。お尻の横の筋肉を鍛えます。
- 浅いスクワット:椅子の背やテーブルに手を添え、膝がつま先より前に出ない範囲で浅く曲げる。深くしゃがまない。
- ウォーキング:平らな道を無理のないペースで。1回20〜30分程度を週2〜3回から。
運動中や翌日に痛みが強くなる、膝が腫れるといった場合は、いったん中止して医療機関にご相談ください。回数や強さは「翌日に痛みを持ち越さない範囲」が目安とされています。
受診の目安
膝の痛みの多くは緊急性が高いものではありませんが、次のような場合は早めの対応が必要とされています。
すぐに受診を検討してください
- 膝が急に腫れて赤みがあり、さわると熱をもっている
- 強い痛みで体重をかけられない、歩けない
- 発熱を伴って膝が痛む
- 転倒やひねったあとに、急に膝が腫れて動かせなくなった
- 膝が引っかかって伸ばせない・曲げられない状態が続く
早めの受診をおすすめします
- 階段の上り下りや立ち上がりの痛みが数週間以上続いている
- 朝起きたときに膝がこわばり、動かし始めがつらい
- 正座やしゃがみ込みができなくなってきた
- 膝に水がたまっているような重い感じが繰り返す
- 痛みで外出や家事を控えるようになり、活動量が減ってきた
- 市販の湿布などで様子をみているが改善しない
当院での対応と、リハビリテーションの流れ
いなだ医院ではリハビリテーション科を標榜しており、膝や腰など運動器の痛みについてご相談いただけます。まず問診で痛みの出かた・経過をうかがい、必要に応じて画像検査や血液検査で炎症の有無などを確認したうえで、状態に合わせた運動の指導や物理療法などをご案内します。専門的な手術治療が必要と判断される場合には、連携する医療機関へのご紹介も行っています。
膝の痛みは「何科に行けばよいかわからない」という声が多い症状です。まずはかかりつけとして当院にご相談いただき、必要な場合に適切な次の一歩をご案内する、という形でも差し支えありません。
受診にあたって知っておきたいこと
- 予約は必要ですか:当院は予約がなくても当日受診いただけます。診療時間は月〜土の午前7:00〜12:00、月〜金の午後14:30〜18:30(土曜の午後は17:30まで)です。朝7時から診療していますので、お仕事前の受診もご利用いただけます。
- どのくらい時間がかかりますか:初診の問診と診察はおおむね15〜30分程度が目安です。検査やリハビリの内容によって前後します。混雑状況により待ち時間が生じる場合があります。
- 費用について:膝の痛みの診察・検査・リハビリテーションは保険診療の対象となります。負担割合により金額は異なりますので、詳しくはお電話(086-525-0600)にてお問い合わせください。
- 当日の持ち物・服装:健康保険証(またはマイナ保険証)、お薬手帳、他院の紹介状や検査画像があればご持参ください。膝を見せていただきますので、ひざ上までまくれるゆったりしたズボンや、着替えやすい服装でお越しいただくとスムーズです。
- 駐車場:無料駐車場を22台ご用意しています。膝の負担を考えてお車でお越しいただけます。
受診時に伝えていただきたいこと
- いつから、どのくらい続いているか(数日か、数か月か、数年か)
- どんなときに痛むか(階段の上り/下り、立ち上がり、歩き始め、正座など)
- 片方だけか、両方か。左右で痛みの差はあるか
- 腫れ・熱感・こわばり・引っかかり感など、ほかの症状の有無
- 過去のけがや手術、現在治療中の病気、飲んでいるお薬
- 日常生活でいちばん困っていること(外出、階段、家事、仕事など)
参考にした情報
膝の痛みで階段や外出がつらいと感じたら、「年齢のせい」と決めずに一度ご相談ください。
📞 086-525-0600最終更新:2026年8月26日
